フィリピンで飲食店開業
昨年、ソフトウェア開発の拠点としてフィリピンのセブに法人を作った。ただ、せっかくセブという有名観光地にあるので、今後は単なる開発拠点としてだけで無く人が集まるようなコミュニティの核に出来ないか、という妄想をしている。
ありきたりなアイディアではあるけど、コワーキングスペースだったり、そこにカフェやバーを併設させたりとか。今回は、フィリピンで日本人が飲食店(カフェ・バー)を開業できるかについてちょっと調べたので、それについて書く。
一般的な話
法人の外資規制
昨年設立したフィリピン法人はフィリピン国外向けのビジネスをするという形で登記してあるので、フィリピン国内の個人・法人と取引をする事は出来ない。外資が設立したフィリピン法人がフィリピン人・企業と取引できるようにするのは、国外向けのビジネスをする場合に比べるとハードルが高くなる。
これはフィリピンに限った話では無く、多くの国では産業保護や安全保障などの観点から、外資の参入に制限のある業種などが存在する。
フィリピンの外資規制
この手の話では、まずは JETRO などの信頼できる情報をまずは探すことが大事。JETRO のページに以下の記述があった。
ネガティブリストはリストAとリストBに分類される。
リストA:外国人による投資・所有が憲法および法律により禁止・制限されている業種。
外資に関する規制 | フィリピン – アジア – 国・地域別に見る – ジェトロ
リストB:安全保障、防衛、公衆衛生および公序良俗に対する脅威、中小企業の保護を理由として、外国人による投資・所有が制限される業種(外国資本による出資比率を40%以下に制限)。
ネガティブリストは以下のリンクを参照。
具体的には?
飲食業をやろうとすると、基本的には外資は40%まで
フィリピンで飲食店をやろうとすると、ネガティブリストの「リストB(安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗の脅威、中小企業保護の観点から外国人による投資・所有が規制されている分野)」の5番「払込資本金額 20 万米ドル未満の零細・小規模国内市場向け企業」が当てはまる模様。また、リストBは「外国投資が 40%以下に制限されている分野」である。「フィリピン 飲食店 開業」などで検索すると、
「40%までしか株を持てないので、現地の信頼できるパートナーと組む必要がある」
などといった情報が多く出てくるのはそのため。
例外は「大規模」
前述の通り、リストBは「安全保障、防衛、公衆衛生、公序良俗の脅威、中小企業保護の観点から外国人による投資・所有が規制されている分野」(太字は筆者)が対象なので、大規模であれば対象とならない。それに関しては、以下のページが参考になる。
小売自由化法改正 | 朝日ネットワークス| タイ・インドネシア・フィリピンで の会計・税務・法務サービス
上のページではフィリピンで飲食業を行うための方法を4つ紹介していて、そのうちの1つとして、「250万USドル以上の払込資本金を拠出する」というのを挙げている。
実は JETRO のサイトでも以下のようなページがある。
外資奨励・規制とサービス業進出における規制について:フィリピン | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ
現在は20 万米ドル以上?2,500万ペソ以上?
実は前項の情報は若干古く、現在では資本金の規制は緩和されている。「フィリピン 外資規制 緩和」などで検索すると JETRO を始め、それなりの数のページがヒットする。ただし、前述の2022年第12次ネガティブリストでは「20 万米ドル」と記載されているが、以下のページだと「2,500万ペソ」となっている。
小売産業の外資規制緩和法案が成立へ(フィリピン) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
「20 万米ドル」も「2,500万ペソ」も「250万USドル」に比べれば大幅に安いが、2024年4月25日現在の為替レートで20 万米ドルは約3100万円なのに対し、2,500万ペソは約6700万円と大きな差がある。どっちなのだろうか。
結論から言うと多分2,500万ペソ(約6,700万円)。以下のページが参考になった。
202204_Philippines_Newsletter_No1.pdf
まとめ
フィリピンで外資が飲食業をやろうとすると、2024年4月時点の情報としては、資本金を2,500万ペソ(約6,700万円)以上にする必要がある。資本金がそれより少ない場合には、株は40%までしか持てず、現地の信頼できるパートナーと組む必要がある。(そして、信頼できるフィリピン人パートナーを探すのは難しい。)
そこまでしてやりたいかというと、今の段階では自分の答は否。今後、そのくらいのお金がぽんと出せるくらいの立場になったらやってみたいけど、その前にやりたい事も色々あるし。