渡邊雄太がNBA本契約

NBAトロントラプターズと2 way契約を結んでいた渡邊雄太が、本契約を結んだというニュースが数日前に入ってきた。バスケ関連のニュースの扱いが小さい地上波の番組でも結構取り上げられていたので、知っている人も多いと思う。

今回は、それに関して思った事を書いてみる。

ニュース自体の簡単な説明

概要

渡邊雄太は神奈川県出身のNBAプレーヤー。経歴とかは Wikipedia を見てもらった方が早いと思うので、リンクを貼る。

渡邊雄太 – Wikipedia

トロント・ラプターズは、一昨年(2019-20シーズン)のNBAチャンピオンで、今シーズンは調子悪いけど、ここ最近は東カンファレンスの強豪と言っても良いチーム。

今シーズンの渡邊は、当初は Exhibit 10 契約でキャンプに参加し、その後 2 way 契約という、NBA の下部リーグである Gリーグをメインに、NBA の試合にも一定試合数出られる契約を結びシーズン開幕。怪我などで調子を崩したときもあったけど、NBA の試合に継続して出場し、活躍が認められてようやく本契約に至ったという流れ。

契約関連の説明

NBA の契約は色々複雑だけど、簡単に言えば

本契約 > 2 way 契約 > Exhibit 10 契約

となっている。

契約関連を解説したページは色々あるので、詳しくはそれらをどうぞ。自分が見て分かりやすいと思ったページをいくつか挙げておく。

豆知識

NCAA Division I (D1)でプレーした日本人

別記事にしました。

NCAA Division I でプレイした日本人 – K blog

ジョージワシントン大学

渡邊雄太の出身大学はD1のジョージワシントン大学。NCAA トーナメントには過去11回出場している。D1の中では中堅といったところか。

渡邊は、4年次に3人いるキャプテンのうちの1人に任命されている通り、チームでは主力として活躍していた。

3人目の本契約

NBAの本契約を結んだのは、田臥勇太、八村塁に続き3人目と説明されているが、田臥の頃には 2 way 契約の仕組みは無かった。田臥は4試合で解雇されているので、現代であれば 2 way 契約となっていた可能性もあるので、そう考えると、渡邊雄太の本契約は日本人2人目に近いくらいの偉業。

(一応書いておくと、田臥は、道を切り開いたという点で偉業であることに違いは無く、彼を落とす意図は無い。)

過去に NBA に近づいた人、近いと言われていた人

渡邊雄太で3人目となったNBA選手だが、過去の日本人で NBA 入り出来そう、出来る能力はある、と言われていた人を挙げてみる。

  • 岡山恭崇(NBAにドラフトされた初の日本人)
  • 佐古賢一(実際にNBAからオファーがあった)
  • 長谷川誠(ユニバーシアード準優勝メンバー、ABAでプレー)
  • 川村卓也(NBAサマーリーグ出場、多くの外国籍選手からNBAレベルのスキルを持っていると言われた)
  • 竹内公輔(NBAサマーリーグ出場)
  • 富樫勇樹(NBAサマーリーグ出場、Dリーグと契約)

他には、桜井良太も、元日本代表HCジェリコ・パブリセヴィッチが「可能性はある」みたいに言っていたけど、NBADL のロスターに残れなかったようだし、上に挙げたような人達よりは少し下かなという印象。

思った事

日本人という枠を超えて相当凄い

NBAプレーヤーになるだけで相当凄いという話はさておき、NBAプレーヤーの大半はドラフト1巡目指名。渡邊雄太のようなドラフト外の選手はかなり少ない。そして、ドラフト外の選手の中で Exhibit 10 -> 2 way -> 本契約としぶとくステップアップしていった選手は、そこからさらに少なくなるので、彼のような選手は希有な存在と言って良いと思う。

日本人にも希望が?

八村塁は、父親がベナン人で母親が日本人のハーフという(※)日本では珍しいルーツなので、大多数の日本人に取っては参考にしづらい面もある。それに対して、渡邊雄太は両親とも日本人なので、よく知らない人からすると

「普通の日本人でも頑張ればNBA入り出来るんだな」

と思うかもしれない。

※黒人系だろうとNBA選手になるのは相当大変であり、八村塁のドラフト一巡目指名は間違いなく偉業

が、実際はそうでは無い。

渡邊雄太のご両親は、共に元実業団のバスケットボール選手。お母さんは日本代表経験もあるというバスケエリート。

渡邊雄太本人も、身長206cmと、日本人バスケ選手としてかなりの高身長。日本人ビッグマンの代表格とも言える竹内兄弟と大体同じくらい。それでいて、ポイントガードのようにボールを運んだり走ったりも出来るという超人。

ということで、一般的な日本人とはかけ離れている。分野は違うが、室伏広治みたいなものと思ってもらえれば良いかと。

そうした恵まれた血筋・身体・環境を持ちつつ、それに加えて周りが認めるほど努力家であり、そんな彼でさえようやく本契約を得られるくらい厳しいのが NBA という世界なんだなと思った。

次は誰?

こういうのって1人が達成すると連鎖する場合が結構ある。100m男子の9秒台とかもそうだし。

次に NBA 入りするのは誰だろう。

  • 馬場雄大(Exhibit 10 契約の後、Gリーグでプレー。現在オーストラリアリーグでプレー)
  • 田中力(強豪高校 IMG アカデミー、NCAA D1 ユタ大からオファー、日本代表候補)
  • 富永啓生(来季からNCAA D1 ネブラスカ大)
  • 渡辺飛勇(NCAA D1 カリフォルニア大デービス校)

あたりが可能性ある

まとめ

書いていて改めて思ったけど、NBA 入りはほんと狭き門。渡邊雄太選手、応援してます。

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