[書評] 新 賢明なる投資家
概要
「賢明なる投資家」は、「投機」でなく「投資」のバイブル的書籍。現代における投資の神様的存在のウォーレン・バフェットも、本書を絶賛してるらしい。
1949年に初版が出て、1973年(?)に第4版が出たが、それに現代の状況に合わせた「注解」を加えて2003年に発行されたもの。日本語版は2005年出版。
随分前に買ったのに、数年間本棚に眠っていたのを、ようやく読んだ。もっと早く読んでおけば良かった。
自分なりに簡単にまとめる
本書の教えを、日本の現在の状況に合わせて勝手に解釈して3行にまとめると、以下の通りかと。
- 「積極的投資家」と「防衛的投資家」とは、取れるリスクの違いではなく、かける時間の違い
- 大多数の人が当てはまるであろう「防衛的投資家」は、株式インデックスファンド:債権インデックスファンド=1:1の割合で定額積立すべし(iDeCo や NISA を活用)
- 相場(Mr. Market)に惑わされるな
感想等
歴史の重み
内容は素晴らしいに尽きる。彼の理論は、長い年月を経て正しいことが実証されている。「長い年月」には、大恐慌や、本書発行後のインターネット・バブルなども含まれる。大抵の「理論」は、過去10〜20年たまたま上手くいっただけの手法を、真理かのごとく喧伝しているのがほとんどだが、本書にかかれている内容の正しさは歴史が証明済みで、重みがある。
注解が助かる
ベンジャミン・グレアムによる原文が書かれたのは1973年だが、40年以上前なので、当然状況が現在と異なる。また、一読しただけだと内容が分からない文も結構あった。各章の後ろについている、ジェイソン・ツバイクによる詳細な注解は、当時の状況と現在の状況の違いや、分かりにくい部分の解説などもあって、個人的には助かった。
アメリカと日本で異なる
とは言え、注解もアメリカでの話なので、日本の状況に置き換えて理解するには、最低限の経済・金融商品の知識が必要だと感じた。
自分自身も専門家ではないが、書籍等でごく基礎的な知識は持っているつもりなので、ある程度は理解出来た(と思っている)。
本書が難しすぎると感じた人は、ページ末尾の本をお勧めする。
もっと若いうちに読んでおけば良かった
読んだ感想で一番大きいのは、もっと若いうちに読んで、定年後の生活費や子供の将来の学費などのために、賢く資産形成をしておくべきだと思った。
ということで、このページを読んだ若い方は、是非本書を購入して読んで欲しい。
個人的まとめの補足
債権
日本では、個人投資家が債権に投資する選択肢としては、実質的には
- 個人向け国債
- 債権ファンド(ETF 含む)
くらいしか無いと思う。
時間をかけたくない「防衛的投資家」にとっては
- 分散投資という観点では、債権ファンドが良い
- 手数料を考えるとインデックスファンドが良い
- ドルコスト平均法で時間軸で分散投資するためには、積立型が良い
ということで、債券インデックスファンドへの積立が良いかと。
(誤りのご指摘等があれば、是非お願いします。)
株式
株式も債権と同様の理由で、株式インデックスファンドへの積立(TOPIX連動型とか)が良いと思う。
国内、海外先進国、エマージング等は、個人の好みで適当な割合でどうぞ。
税金
投資で無視できないのが、税金(と手数料)。
所得控除され、運用益も非課税の iDeCo は最強。年数が決まってるけど運用益が非課税の NISA も使うべき。
ただ、iDeCo は、60才まで下ろせない点だけは要注意。
基礎的知識を得るための書籍
本書は、読み進めるにはある程度基本的な知識が必要だと思う。それがない人向けに、(個人的に良かったと思う)入門書を何冊か挙げておく。
と思ったけど、別エントリーとして書く予定。